「年貢の納め時」という古い言葉がある。年貢というからには江戸時代以前の所得税や人頭税のことだ。それをそろそろ納めるべき時が来たということで「覚悟を決めてさっさと諦めろ」とか「時間切れになる前に決断して進め」というような意味で使用されると思われる。ある種の諦念と決断の盛り上がりの時という時間感覚なのかもしれない。
命というものの有限性、寿命というか残り時間というか最後の可能性とか、そういう限定的な時間のことでもある。若い人はピンとこないかもしれないが、老年に近づいて、親が死に、あるいは兄弟の誰かが死に、同年代の知人、年下の友人の数名が死んだり、致命的な病気に罹患したり、平常の健康な生活が不可能なほど健康を害してしまったりという事実がある日やってくる。
次は自分の番か?と誰だって考える。病気だけではなく、怪我や、事故、災害などの物理的災難にあってしまうことも十分に可能性としては高くなる。老いというのはそういう事なのだ。でも誰もそれを避けることは出来ない。いくらジタバタしても来る物は来るのだ。その早い遅いの個人差があるだけだ。
梅雨時は身体が重い。エアコンをドライにして除湿をしていても湿度だけではなく気圧のせいもあるのだろうが、身体が重く気分もスカッとしない。外は雨だから鬱陶しいし、運転も出来ればしたくない。事故の発生確率は雨は8倍になるのだそうだから、ジットしているほうがマシだが、ジッとしていると益々鬱陶しい気分になっていく。
日本の食文化は明治以降急速に西欧化しているが、それでもせいぜい庶民レベルでは食べ始めて100年程度である。日本の伝統的食事は、米、煮魚、みそ汁、漬け物が定番である。西洋は麦、肉、酒である。だが人種的な身体の差異(腸の長さや持っている消化酵素など)が同化するには1万年規模の時間が必要ということで、外国から入った食物を完全に自分のものとして消化吸収が可能になるのは長い時間がかかるという。その意味で、日本人が食べて完全に消化、吸収が困難なもののランキング上位4つというのがあるらしい。
1 牛乳 2 ヨーグルト 3 刺激物(唐辛子とかカレーとか辛いもの) 4 油っぽい食べ物
これらは胃腸の状態や他の身体の状態が良くない時は「毒」になって消化吸収が出来ないから食べてはいけないそうだ。不調な時は避けたほうが無難だろう。
天気が悪く、外出する気持ちにならない時は僕はゆっくりと簡単な料理を作ることにしている。
産直で新鮮野菜をたくさん買っているので、今なら 茄子 や キャベツを使って、簡単で早くて美味しい「サラダのようなお漬け物」という良い本で作る。
茄子の漬け物
1 茄子2本を縦半分に切って、更に1.5センチの斜めに切る
2 1をビニール袋に要れ、塩 小さじ2分の一(2.5グラムぐらい)を振って揉む。
3 10分だったら、上から押し透けるように揉んでさらに10分置く
4 水を絞って皿に盛る。
キャベツの桜えび炒め
1 キャベツ4枚を4センチ角ぐらいにカットし、塩少々を振ってラップしてレンジでチン2分
2 スキレットに胡麻油 大さじ1を引いて加熱し、桜えび5グラムを加えて香りが出るまで炒める
3 2に熱々の2を掛け 、ジューと音がしたらかき混ぜる。
2つの漬け物と、出汁を引いた椎茸と大根のみそ汁、冷や奴、沼津の鯖の干物、イカの塩辛で白いご飯と典型的な日本食の質素なご飯なんだが、こういうなんでもない伝統食を食べているほうが、高級食材のごちそう(例えば飛騨牛のステーキとか)を食べている時より、身体の調子が良いのである。つまり重くないのね。
僕は一滴も酒が飲めない体質なのだが、日本人の2割は大人になってもアルコールの消化酵素を持っていないそうである。つまり酒に弱い人種なのだそうだ。
老年になって、自分で簡単な料理をサッと作れるとすごく便利で快適な暮らしが出来る。
料理は慣れと感覚と技術だから要素は相場の巧拙と同じである。自分と家族が満足出来るレベルで良いのだから気が楽だ。しかもいくらコストをかけても誰も文句を言わない。コストは相場でいくらでも取れるのだ。
鍋、釜、包丁、器と道具も大事だ。これも相場と同じである。火加減、水加減、塩加減と量的、時間的要素も同じ。
つまり相場を上達するのと同じ要素が料理を自分で作るということに似ているのだな。
暇を見つけて、いろいろ作ってみれはどうか?家族が喜ぶよ。特にマダムは炊事から解放されるとご機嫌が宜しいことこの上ない。