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Channel: 猫次郎のなんたらかんたら書き放題
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理想の物欲喪失世界=金利ゼロの天国

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マダムのクリスマスリース
オレゴンのもみの木で作ります。

──この20年余り、ほとんどゼロ成長で、超低金利の状態が続いている日本の現状に鑑みれば、「定常経済」への移行は現実味があります。
 金利がゼロという状況は、常に利潤を得て資本を増やさなければならない事業家や企業経営者、そして投資家などにとってはゆゆしき事態です。しかし、無限に財産を増やす必要はない一般の人々の生活には支障はない。むしろ、金利がゼロというのは、欲しい商品やサービスがもうなくなったというぐらいに、みんなの欲望が満たされた状態と考えてもいいのではないでしょうか。
 金利の歴史で、複数年に渡って2.0%の水準を切ったのは過去1回だけ。歴史家のフェナン・ブローデルが「長い16世紀」(1450年~1650年)と呼んだ、近代に向かう大転換期に、イタリア・ジェノバであっただけなのです。
 中世の封建体制の下、陸に囲まれた地中海貿易で繁栄した商業資本主義の時代が行き着くところまで行き、一方で貴族と貧民の二極化などで、社会が変わらざるを得なくなった段階だった。それを考えると、まさに今の状況とかぶるわけで、歴史上の転換期にあるのは自然なことと言えます。
 今の日本はどちらかというと、まだグローバル化や自由貿易、成長戦略といった「拡張」を志向する層が多い。それで頑張るのはいいのですが、現実は拡張を志向すればするほど悪くなっています。
 財政は巨額の赤字を積み上げ、日銀は「異次元緩和」と称して、資本主義経済の基本である資本市場の機能を殺してしまっています。企業も、無理して利益を上げようと頑張って、おかしなことになっている。東芝がその象徴ですが、見せかけの利益を上げるために、粉飾したり無謀な買収に走ったりして、墓穴を掘ってしまっています。
「定常経済」と言われる利潤や成長を求めない経済では、市場は、資本の利潤を生む場ではなく、単純に資本やモノを交換する機能だけでいいと思います。地域で得られる原材料や食材などをもとにした生産品や、地域の労働力を使ったサービスをその地域で提供して、それで得た所得を地域で消費する循環型の経済を目指すことが重要なのです。
「マイナス金利」を経験しているのは世界でも日本とドイツだけですが、そういう意味では両国が新たな時代の先端にいるといってもいい。つまり、「近代」の次の段階に最も移行しやすいということ。そう考えますと、日本は制度疲労が目立つ「近代」のシステムに固執するのでなく、新しい枠組みを志向すべきなのではないでしょうか。その基盤となるのが、「閉じた帝国」という経済圏なのです。

  ダイヤモンドオンライン 水野和夫インタビューより転載

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 強気の武者氏を転載したから、公平に弱気の水野氏も転載しておく。両者とも時間軸の長短の捉え方に若干の差があるとは思うが、夢見る未来の構図には正反対の世界があるように思う。きっとある程度の時間がたてば、どちらかに近い現実がやがてやっていくるのだろうと思う。
 武者氏が見るのは成功した資本家、投資家の夢であり、水野氏が見るのは没落した一般の労働者の生活という悪夢なのだから、両者が等しく併存する未来という絵図こそ我々が迎える近未来の見取り図にきっと近いだろうと僕は思う。自分が何になるかという差異だけしかそこにはないのだろうし、経済的な成功と失敗の比率はきっとどんな時代でも大きな差はないだろうから、きっとそれは昔から1対100とか1対1000とかの割合だ。だから多くの人はきっと水野氏のような厳しい資本主義が敗北したどこかがひきつったような暗い定常経済の世界と時代の生活をするのだろうし、わずかに成功した人は快適で裕福な生活をする。その格差はどんどん拡大していくという現実の映し絵を強化するだろう。

 それでも生産力の持続的な拡大で、常に事物が需用以上に供給され続けることを常態として世界は廻り、と同時にそれを価格面から補強する信用の過剰付与によって支え続けるという物とマネーの関係性の仕組みの中にあっては、膨大な累積されるマネーと信用の分配は、今後は労働とはほとんど無関係に散らばって存在することになるのだろう。ゲートシティーという嫌な街がアメリカに増えているが、きっと日本でもそういう事が起こるんだろうと思う。都市化が進むと当然の居住地区の所得分化が進んで、安全もサービスも教育も品質も全部がやがて階層化されていくことだろう。当面は誰もこれを阻止できない。水野の言う「閉じた帝国」は雛形としての「閉じた街区」をその中にマトリョーシカのように作り出すだろう。無数の脱構築されたリゾーム状の居住地区が不気味に日本列島を覆い尽くす。その単位が60万都市を200作るというコンパクトシティーなのだろうと思う。

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