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Channel: 猫次郎のなんたらかんたら書き放題
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欲望の存在密度

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神田川沿いの桜並木のカラス

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一度も泣かない 孫のさくら

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ミシュランで星のついた神楽坂 蕎楽亭の天ざる  甘い十割蕎麦です。


「興味ないの」わたしはきいた。
「興味ないな」と聖ははっきり言った。「信じるとか信じないとかじゃなくて、なんていうんだろうな、つまり、、、何であれそういうものに頼るのがいやなのよ。どんな答えをだすにせよ、それは自分の頭で考えたものじゃないと厭なのよ。自分で決めて、それで行動したいのよ」
「人まかせみたいのがいやなの?」とわたしはしばらくしてきいた。
「そう。あらゆる意味においてと人まかせというものを受けつけられない人間なの」と聖は笑った。
「自分でやるのがいいじゃん。まあそういうと、ああいう人たちは『人はひとりで生きられないし、生きてないのよ』って言うんだろうけど、もちろんそんなのわかっているわよ。当然じゃない。そんなの承知で、だからこそ自分でなんとかやっていくことに意味があるんじゃない。」そう言うと聖は薄い金属の板でできたメニューを手にとってじっと見た。
「ピクルス食べない?」
食べる、とわたしは言った。聖は三種のピクルスとセロリのスティックを注文した。
「ーーーいいのよべつに。わたしも含めて、みんな好きにやれば。でもね、普通に話をしていていきなりそういうのを押しつけられるのはたまらないわよ。気分悪くなるもの。でもあの人たちは自分たちのことを『気づいた側』の人間だって自負していて、それが唯一のアイデンティティだから、それを黙っていられないのよ。そしてその極意みたいなものを惜しげもなくみんなにシェアできるわたしって大きいよね、うっとり、みたいな話なわけよ。まあとにかく、単に優位にたっていたいってことでしょ。安っぽい精神的セレブ病みたいなもんね。」
              「すべて真夜中の恋人たち」川上未映子  より転載

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ひよこちゃんが久しぶりにコメをくれたが、あいにくと東京出張中で無駄に忙しくコメが遅れてご免ね。僕はまだひよこちゃんにお会いしていないし、きっと会うような機会もないんだろうと思うが、僕の妄想的なひよこちゃんのイメージというのは、川上未映子や川上弘美みたいなしっかりとハードに働く賢い女という感じなんだよね。ちょっといつも軽い僕みたいな男を小馬鹿にするんだけれど、それでもそういう男がいないとちょっと寂しいそういう感じの女です。(爆)でこの3日間に4回東京の本屋に行って買った中で、聖のようにきっとこんな感じでひよこちゃんは仲間同士では話したりしているんじゃないかなあ、賢い女の本音ってそういうもんだろ?と思ったのね。

東京の4日間はマダムのお仕事が結構タイトなスケジュールだったので、仕事の合間に花見をしたり、孫の顔を見たり、買い物をしたり、ミシュラン飯を食ったりと熱海とはまるで反対の忙しい時間でした。神楽坂の蕎麦屋、蕎楽亭はミシュランで星がついている蕎麦屋でお昼に予約なしで10分待ちで大盛りの天ざるを食べた。(僕は海老でマダムはホタルイカ二人で4500円)実に甘い石臼曳きの蕎麦だったからこれだけで行った意味があったねと思うが、お金がある東京ライフは確かにすごく充実するように出来ている。6年前までは毎日こんな生活をしていたんだなあと懐かしい気もするのだが、3日もいると随分疲れがたまるのは、人間の欲望の密度が格段に濃いせいなんだろうと漠然と思う。まあ、年に数回でいいかなと思うね。
 

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