上野千鶴子の「老後シリーズ」を4冊ほど読んだ。彼女の「スカートの下の劇場」を読んだのは40歳ごろだったと思うが、古本を買って読んで面白い視点のインテリ女だなと思っていたら、あれよあれよという間にフェミ時代の人になって東大教授まで登り詰めた。良い娘のインテリなので京都大学で全共闘に加わってマルクスに耽溺したレフトだったからだろう。この団塊世代の持つ共通のリベラルな政治風土はまさに「反アメリカ」という政治姿勢でプチブルに反発しつつも情緒的には取り込まれて行く自己矛盾という世代でもあって、日本で一番物資的に裕福で恵まれた世代の一人なのだろうと思う。現在バブル世代が企業内で批判の対象になりつつあるようだが、その上の団塊から上は逃げ切り世代と言われて、日本の経済成長の一番美味しい部分を食い逃げしたと批判される。それに続く僕の世代も同様に「あいつら旨い事やりやがって、、」と子供たちの世代からは見られているのかもしれない。彼らも僕らも車が好きだ。特に彼らはBMWが好きな人が多い。上野先生もZ3に乗って信州から東大に通勤していたし、その天敵である内田先生は著作が売れ始めてからチャリンコでBMWを買いに行って疑われたと書いている。つい最近はスズキ編集長に勧められてメルセデスに乗り換えた立派な左翼のおっさんである。そういう世代に反発したのか、僕が最初に車を買ったのは長男誕生の時今から36年前、27歳で中古のメルセデスを買った。230Eという6気筒のミディアムクラスの縦目のベンツで、あの林檎ちゃんがセンターからスパッとカットしてCDジャケットに使用したそのものの車である。だから僕は当時からセンスがたぶんとても良い。、
上野さん(71)や内田さん(68)の団塊世代もついに70歳近辺になって、そろそろ自分の老後の長い下り坂と死について正面から真面目に考えるようになってきて、上野さんは「お一人さま」シリーズを書いて圧倒的な売れ方で社会は反応した。上野さんは負け犬女子だし、内田さんもつい最近までは棄てられた犬だった(近年、若い奥様と結婚されたらしい、おめでとうございます)。どちらも個性的で灰汁が強い性格(テキストから透けて見える)だと僕は感じるから、まあ「お二人さま」より「お一人様」のほうが自由で好きな事が出来てよいだろうなあとは感じる。日本は同質化圧力が凄く強い社会だから(きっと島国で逃げる場所が無いからだろうと思う)、同じでないと虐めにあったりする風通しのすこぶる悪い社会だから、リベラルな人は生きにくい。だから隠れ蓑として普通に結婚して「お二人様以上」とか「お二人様プラス」で生きたほうが楽だろうと経験的には思うのだ。
かく言う僕も現在はまったりと「お二人様の老後」を熱海の豪華な元億ションフラットで満喫している。ここは味の素という大会社の社長の別荘を3年前に投げ物を叩いて捨て値で買ったもの、僕の買った値段は1100万だ。それが先月に1階上の同じような面積の8階のフラットが5700万で売りに出た。まあなんやかやと改装などしているものの5700万は高過ぎるだろうと思う。(それでも1993年の売り出し価格は2億オーバーだった。)140平米で都内ならそんなものかとも思うが、ここは土地の安い熱海である。それでも値引きしてきっと3000万ぐらいでは多分売れるんだろうと思う。事実3年で3倍になったのだから、熱海の高額のフラットは3年前だったら商売に成ったなあと思うな。鹿島の鉄筋12階の建物で140平米で3000万では裸の建築コスト(エレベーター2機、電動式移動パレット5機、源泉ありの各戸大理石の温泉浴槽付き)にもならないのだから、新規なら現在でも一億オーバーの売り出しだろう。相場なんてしないでも不動産転がしていたらば食えるなあとも思うが、その道のプロになる気は全くしない。面倒な事は嫌いだし、第一ノマドライフは移動することに意義そのものがあるのだから、固定される不動産は邪魔である。主義に合わないことをするとろくな事が無い。
でも業界人に聞いたら、55歳を過ぎると賃貸不動産を借りるのは凄く困難になるらしい。大家が孤独死とか家賃未払いを嫌がって、老人はなるべく追い出すという方針を強めているらしい。だから老人が住む場所を確保するのは老人専用のケア付き住宅以外には切実な問題になっているらしい。老人に貸すくらいなら目先空き家のほうがマシという大家が増えている。だから古くて安い売り物件が増えているという事だ。これを上手に叩いて買ってリノベーションしてカッコいい住宅として再販するビジネスが都内中心に当たっている。ブルースタジオという建築設計会社があるが、娘の花屋の内装をお願いしたのだが、実にスマートでカッコいいから若くて豊かな人がたくさん集まる。はやりスタイルは重要な要素なのだなと思う。
お一人様に老後には3種あって、死別したお一人、離別した(離婚した)お一人、もともと未婚のお一人と様々だ。お二人様もやがて時間とともにどちらかがお一人になる。孫や子供と住むのは「悪魔のささやき」と言って上野は絶対に辞めておきなさいと言う。どちらも困るようなことは最初からしないほうがいいんだな。だからそのうち快適なお一人様になるには、軽い友人グループをたくさん持って軽く繋がるのが良いという。重くない、いつでも切れる友人が数いるほうが楽しいという事だ。重い親友より軽い友達が気軽で良いのだ。一番まずいのは孤立すること。緩く繋がるのがネット社会の良いとこ取りという事だろうと思う。
ブログを書くと僕には400人ほどのリーダーがいて、そのうち30人ぐらいはメールなどの交換履歴があって、そのうち10人以上は会ったことがある緩い友人になっている。年齢、性別、居住地などバラバラだし、相場のするしないもバラバラだ。その多様性が良いのだと思うな。先入観の無い忌憚ない意見や考えに触れるのが良いのだな。こまめになんか印象とか感じを書き込むとすぐに仲良しになれるなと思う。ネタで良いのがやはり食いモノが具体的で宜しい。同じものを食うのは話題になりやすいからだ。とても簡単だし、、。