二番底へ
週末の雑感 19-10 先物と現物の股裂き状態が続く
外国人は現物株をずっと年が明けてからも売り越している。その額、1.2兆円。主に政府系のファンドや生保、長期の政策投資が日本株の持ち高が減少させている。景況感の悪化によって、日本株の比率を下げてアセット全体を現金化して、リスクオフになっていると思われる。
一方、短期のCTAやヘッジファンドは、NY市場と連れ高して日本株の先物を買っている。主に欧州筋が主体であり、年末にかけては売った筋のショートカバーも含むので、これがいつ売り越しに変わるかということだが、どうやら先週で終わったようだ。
従って、戻り高値はどうやら3月4日だった可能性が高いと思われる。外国人は一旦、買い越しの連続が途切れると次に買い越しを始めるまでのインターバルは、現物、先物合計で平均で18週はかかるから、次にまた日本株を買い越しになるのは7月下旬が最速ということになるだろう。
その結果、需給要因ではこの先かなり深い下落が待っていると考えるのが常識的だと思われる。
株価も既にそれを素直に反映して、景気敏感株の代表の非鉄は、グラフの通りお辞儀をはっきりと始めているから、12月のクリスマスの安値を下に切るのは時間の問題だろうと思われる。
225の指数を持ち上げているのは、一部の値嵩株(ソフトバンク、ファナック、ユニクロ)であり、それ以外の大型株の値動きは実に弱いから、225とトピックス、225先物と現物の乖離が激しくなってきた。先物で釣り上げておいて、後からドスンとやるのはいつものCTAの手口である。
100程度の景気敏感株の折れ線グラフを書いているとそういうことが自然に理解できるが、指数だけ眺めていると錯覚に釣込まれてしまうと思う。
新年から「空売り」しかしていないが、ピークを通過してから当然のごとく利食い単価が増えて、回転が上がって利益額がグーンと伸びてきたのが実感できる。この調子でクルクル落ちて行くとすごく楽だねと思う。
昨年から併合、合併などで月足グラフの枚数が相当数減った。それで新たに上場したものを追加で30銘柄程度追加して、売り銘柄候補に入れている。ゲーム株、半導体装置、素材関連、ネット関連株などを増やしている。つまり今回下落の主体を演出するものをたくさん追加して売り始めている。「突っ込みの後に2本の月足戻りは売っておけ」というような玉操作が主体だと安定して回転し都合良く取れると思う。
業種的に見ると、内需系のものが高値をまだ保っているようだ。住友不動に代表される不動産株は新高値、また食品の好業績、ハウス食品やキッコーマンなども高値で踏ん張っている。陸運も強い。今後の崩落が楽しみである。踏ん張ったものほどその後の崩れは劇的だ。
一方、外需でも海運は最安値を更新しているし、金融株、設備投資関連や景気敏感の素材も安いものの代表だ。底抜けしたものが増加中であり、また半導体株も暴落が止まらない。対中国やアメリカの貿易絡みのものは総じて売られていると思う。
長期に続いたあべくろ景気拡大は昨年10月で終了し、すでに世界景気全体が後退期に入っている。地域別に濃淡はあるものの、中国と日本、韓国の景気後退は顕著である。欧州、とくにドイツの後退が著しい。イギリスのブレグジットを契機に今後EUは解体に向かうだろう。イギリスに続いて、スペインとイタリアが離脱に進むだろう。EU解体は早晩時間の問題だと思われる。
EUが解体し、それに応じてユーロが消滅し、アメリカが孤立化に進み、安全保障を含めてグローバル化総体が解体プロセスに進む。それに応じて市場も解体と分離が進んでいくことになるだろう。
解体され分化した市場は、信用崩壊のショックを受け止めきれないだろう。ミンスキーモーメントはすぐその先まで来ていると僕は思う。いままさにMONEY SHORTの時間だ。